280日間 近くて遠い日
秋也

月が傾く頃
金色の砂が器から溢れ
胎内に響く
もうすぐだね
もうすぐだね
梟のウィンク
深淵なる森の一瞬
針葉樹の欠伸
我らからすれば永遠に等しく
命が宿るは奇跡に等しい

明星
朝焼け
天子の輪
もうすぐ
もうすぐ
産まれる前から笑顔と安眠を覚え
光に驚き
泣き浸る

赤子の涙
母の涙
赤い一滴が交わり
夕日より尊く
染まる

落ちる
涙の表面
もうすぐ抱擁が映るはず

命は在れば影ではなく光
どんなに深くとも
マリンスノーが深海を漂う間すら
祝福する

もうすぐよ
もうすぐなのだから





自由詩 280日間 近くて遠い日 Copyright 秋也 2015-11-30 01:58:38
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