夜が明けたら
真っ白の世界
魔法使いが杖をひとふり
呪文を唱えた
犬は喜び　庭駆けまわり
猫のあたしも
心躍る

歩道橋ですれ違う子どもはみんな
いつもよりはしゃいで見える

いがみ合いながら
悪口を囁き
肩を寄せあう女の子たちも
今日はてんでに
丸い雪の玉　あるいは
それを二個つなげたものを
手袋はめた手で
大事そうに持っている

歩きながら
意味なく体をぶつけ合い
ふざけ合う中学生男子

おにごっこなのかなんなのか
やたらと笑い声を上げ
いつまでもじゃれてる小学生

昨日まで暗かった道が
今日からは嘘のように明るい
雪さえ積もれば
速足で忍び寄る夕昏なんか
なんともない