寂寥〇平静
たけし


逃れ去っていく逃れ去っていく記憶の
その核心を掴もうと
広がる鉛の海を泳ぐ、泳ぎ続ける
 
 失われた煙の花と団欒
 終わった関係と更地
 虚脱の時を刻む秒針

静まっていく静まっていく
魂のその内実を見極めようと
開ける暗黒の宙を漂う、漂い続ける

 消えた赤い舌と墓石
 現れる問い掛けと透明な流体
 永続の時を移動する銀河

<自由は魂の積極的な内的活動だけにあり

外界に依存する限り

オマエは絶望と希望の円環をループし続ける>

あの時あの瞬間、私は何かヲ体験した
あの時あの瞬間、私は何かト一体化した
思い出せない思い出せない

思い出せるのはただ、
遥か遠く黄金に輝く巨大な岩塊
濃淡紫の雲に包まれた黒い太陽
温かな祝福の抱擁
それだけなのだ。


自由詩 寂寥〇平静 Copyright たけし 2015-11-26 15:44:19
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