一瞬確かにわたしたちは
ただのみきや

魂の境を越えた交わりだった
わたしたちは一羽の大きな鳥になって
暁に輝く大河の遥か上空を
風を切り 大きく弧を描きながら
深く埋もれたまま錆びて膨れた散弾
思考に敷かれた玩具の電車の閉鎖回路
細部まで蝕むように根を絡ませた
運命や宿命という蠱惑な呪術の囁きも
すべて 雪解けのように流れ去り 
何の違和も抵抗もなく
自由という名の蒼い目隠しさえ
風に遠く 飛ばされて行った 
わたしたちは支えも支えられもしない
一体であり 心地よく 別個だった 
互いに妨げも葛藤も感じずに
一羽で二つの軌跡を描き続けた
引き裂かれることもないままに



     《一瞬確かにわたしたちは:2015年7月18日》


自由詩 一瞬確かにわたしたちは Copyright ただのみきや 2015-11-25 20:20:31
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