キンタマ王子、凶器、狂気、驚喜
花形新次

ブッチャーがフォークで
テリーファンクの腕を刺したとき
みんな騒いでいたけれど
僕はそうではありませんでした
フォークは痛そうに見えなかったので

「僕なら柳葉包丁で頸動脈を狙うのに」

何故ブッチャーはやらないのだろう?
ひょっとしたら
ブッチャーはとても良い人で
僕は悪い人なのか?

僕はとても悩みました
2週間悩み続けました
悩みに悩んで
やっとこさ出した結論は
ブッチャーは
テリーファンクに
気を使っているということでした

相棒のザ・シークにも
「フォークぐらいにしておけよ」
と釘(フォークではなくて)を刺されていたかも知れません

僕はブッチャーに失望しました
もうブッチャーは当てに出来ない
誰でもいい
誰かテリーファンクの頸動脈を
柳葉包丁で切りつけてくれないか

いや、この際テリーファンクでなくてもいい
誰かの頸動脈を切りつけてくれないか

誰かが誰かの頸動脈を
切りつけてくれないか

そうなったら嬉しいのに

僕、11歳の誕生日の翌日のこと


自由詩 キンタマ王子、凶器、狂気、驚喜 Copyright 花形新次 2015-11-24 20:14:16
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