悲しい君に
日々野いずる

泣いている猫に
どうして泣いているのと
問いかけても
それの応えはなく
泣いている鳥に
どうしてなの、と聞いても同じで
君に尋ねても同じで

わからなくて
空を見上げて
君だけのことを考えたけど
わからなくて
やっぱり
二人一緒になれなくて
お互いに一人ぽっちなんだと思ったのよ

それはきっとBBQをしている楽しげな河川敷を
一人橋の上から見つめているような
香りだけ共有しているような
そんなもの

淋しい匂いの空気を捨てたい
その気持ちだけが
流されてしまえばいいのにと思って
川を氾濫させてしまえば
なんて

それが私の心のさみしさで
貧しい悲しい空想

そんなだから
私は本当を知らずに
君の気持ちも理解しないで
ずうっと横顔を眺めて一人
そして
君のことを分かっているって
偉くなったつもりなんだ

橋の上から見せられているのは
川に流れていっているのは
わずかにあった思い出なんだ

「身を投げるの」
言うあなたと優しい思い出は
どこかへいってしまうから
私も一緒にいくことにしたの
そうしたらきっと
二人一緒になれるから


自由詩 悲しい君に Copyright 日々野いずる 2015-11-18 08:04:08
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