田螺
043BLUE
毎夜
ぼくは
ぼく自身の中にある
貧しい
優しさや
素直な心を
誰もいない
真夜中の
公園の湖に
捨てるんだ
君にかけそこなった
優しい言葉も
抱きしめたい
気持ちも
誰もいない
真夜中の
公園の湖に
捨てるんだ
行き場のない
ぼくの優しさは
静かな
湖の底深くへ
沈んでゆく
誰も傷つける
必要のない
優しさ
誰からも
傷つけられない
狡さ
ぼくは湖底の田螺
ぼくが汚れていく
分だけ
君がキレイに
なってゆくのなら
湖底から見上げて見る
この月の光のように
ぼくは君を
いつまでも
見守っていたい