母の肖像
レタス


もの言わぬピエタを前に
ぼくはすでに言葉を失っっていた

何を語ることもなく
鼓動だけはゆっくりと打ち続けていた

螺旋の彼方に消えて往ったおかあさん
ぼくは何かを伝えたかった
もう それは叶わないことなのに
もう 憶えていないことなのに

たぶん きっと
ぼくが静かに生きて
やがては死を迎えることを
貴女は幸せに感じるに違いない

おかあさん
教えてくれた歌は忘れないよ

千年を越え
輪廻を続ける貴女の魂は
いまはもう
一言もなく
パルサーのように
ぼくの鼓動に点滅している

青白い光は約束の歌だった



自由詩 母の肖像 Copyright レタス 2015-11-06 20:02:51
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