あおい満月

鏡のなかの、
少女のままの彼女に
メールをする。
液晶の水面は、
音もたてずに目を閉じる。
鏡のなかの少女は私だ。
白いワンピースを纏って、
麻栗色のウェーブの髪を風に揺らせて。
いつまでも少女でいたかったから、
満月という名を与えた。

16歳の夏の日。
夢想のなかの青年を抱いた朝。
描いたクロッキー帳に滲んだ想い。
詩を書いていくと決めた二十歳の秋の日から、
いくつもの冬を越えてたどり着いた場所で
出逢えたぬくもりを今は愛している。

それでも、
足を踏み外せば喰われてしまう危うい世界で、
羽根を拡げて飛び立つには力がいる。
求めるよりも、
何も求めない心がほしい。
少女は少女のままで。
私の願いで溢れた、
私の扉には、
たった一つのレスポンスがある。
だだ、たった一つのことばだけで、
どこまでも私ははばたける。


自由詩Copyright あおい満月 2015-11-03 15:40:46
notebook Home 戻る