深まる秋
藤原絵理子


誰かと口をきくのも嫌だった1日
夕陽に照らされて石畳を登る 淋しさに会いに
前を行く人の影を踏んで 後ろは振り向かない
そこに 幸せな顔があると 嫌だから


半分乾いてしまった 冷凍ポテトを
揚げている 復讐でもするみたいに
みっともなく 霜がこびりついて
賞味期限なんて もうとっくに過ぎている


愛だと思っていた
熱に浮かされたような 瞳
大人ぶって こんなもんだわ なんて 嫌


どこか遠くを眺める 消えた町並みを懐かしんで
青ざめたカラスが 見下ろして鳴く
「お前の居場所は ここじゃない」 と


自由詩 深まる秋 Copyright 藤原絵理子 2015-11-02 22:08:07
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