ノート(冬の蝶)
木立 悟





鉄は不可思議の組み合わせ
ひとつにひとつ
燃えさかる蛇
器の海を呑み干すけだもの


灰の駅 灰の汽車
川底を浚い
放る羽
光を終えた光に群がる


凍えた青空の音を拾い集めて
冬の径をゆくけだものを造った
森へ消える手前で立ち止まり
鉄路を振り返る幾つかの背を


誰も顧みない足跡に
棘の火が落ち 燃えてゆく
金を蒼を呼ぶ喉は
やがて龍に去ってゆく


止まった川の
厚く長い尾
けだものの背に爆ぜる光
淡く小さな 羽の光


青と白の曲がり角
降り積もるかたち かたちたち
砕けたものを踏みしめながら
羽は空への坂をのぼる























自由詩 ノート(冬の蝶) Copyright 木立 悟 2015-11-01 09:45:04
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