遮断機の内側
凍月



       カ ン カァン カ ン カァン……



   カ ン
     カァン
        カ ン

  絶対に

絶対に電車は通らない

         消失点のあたり で
       無人のまま朽ちている

 廃線

     微震動

 荒野みたいな石の散乱(カ ン カァンカァン)

錆びた鉄 鉄、鉄線

      焼き切れたパンタグラフ

 絶対に

絶対に誰も通れないように

赤い点滅が 辺り構わず鳴り響く 連続

僕を遮断機が囲ったのか
僕が遮断機をくぐって中に入ったのか
(カ ン カァン カ ン カァン)

あんな簡素で単純な仕切りが
この世界を分断している

絶対に出られないように

壁も無い隔絶
それでも出られない檻

  カ ン カァン カ ン カァン
     カ ン カァン カ ン カァン
     カ ン カァン カ ン カァン

カ ン カァン


ど れ だ け 大きな声で




ん で

も   !


遮断遮断カァンカァン赤の点滅遮断遮カァンカァン赤の点滅赤断遮断カァンカァ遮断赤の点滅遮赤の点滅断遮カァンカァン断遮赤断の遮点滅断遮カァンカァンカァンカァン断遮断遮断遮断赤の点滅遮断遮カァンカァン断遮断遮断遮断カァンカァンカァンカァン点滅点滅



興味無いね、で終わりでしょう?

誰が轢かれた、とか
見えないから分かんない




分断されているのか、してるのか
         (カ ン カァン カ ン)
孤独なんて大層なモノは無い
  ただ、遮断機の内側に、一人で、いるだけ、
(カァン カ ン カァン)






自由詩 遮断機の内側 Copyright 凍月 2015-10-27 21:17:48
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