「キンタマ王子」キル・ザ・パシフィスト
花形新次

歩き方が分からなくなる
ぎこちなくなる
右の次が左という確証が持てない
やがて立ち止まり、しゃがみこむ
もう、一歩も歩けない

それは、実は、お前の心の表れ
本当の自分を偽っていることの表れ

お前は
この世の理想郷なんて考えたことはない
誰かが充足した生活を
送ることなどどうでもいい
ままならぬ己の空虚を
ただ埋めるためだけに旗を立てて
拳を突き上げる

お前には他者など最初からいない
つまらないフレーズに寄ってくる
ゴキブリみたいな平和主義者を
楽しんでいるだけ
そしてゴキブリの中から選んだ
若い同棲相手の首を絞めて
山に捨てに行く

死体を山の斜面に転がすときに
俺ってかなりイイヤツじゃない?
と自分を見直す

キル・ザ・パシフィスト

首を狙え、弱い相手の首を狙え!




自由詩 「キンタマ王子」キル・ザ・パシフィスト Copyright 花形新次 2015-10-22 23:31:22
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