観想
凍月




乾いている


鼓膜に打ち寄せる波に温度はあるのか
でも 飲み込んだ言葉はひび割れていた
靴音から調律までが一番好きだ
酔っていれば君を見つめていても
秘密のまま 鍵は手の中に
光と陰が裏返り
誰もが視界から舞台を降りる

君の声は主旋律でなければならないのに
いつからだ?
涙の落ちる音が聞こえなくなったのは
白い秋雨はこんなにも静かに
鳴り響いて止まないのに

いまこの瞬間ほど
言葉を心から欲した瞬間は無いのに
喉が引きつり声は出ない
去りゆく君を
呼び止める事も出来ずに
寂しさって冷たいんだね と
ただそれだけを手に入れる


幕間に寄り添う繋ぎの一章
誰も気付かないまま
ローディング

打ち止め

壊れた蓄音機

レコードに針を刺す
間奏





自由詩 観想 Copyright 凍月 2015-10-22 18:37:34
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