刃の上
大覚アキラ

地下鉄のホームに立って
銀色に光るレールを
じっと眺めていた
薄暗い水銀灯の光を反射して
日本刀のように
静かな輝きを放つレールを
瞬きもせず眺めていた
このレールがどんな金属でできているのか
そんなことは知りもしないが
たまたまこいつは
この時代に
この場所で
レールになっただけで
時代が違えば
どこかの侍の刀になって
誰かの首でも
刎ねていたのかもしれない
そんなくだらない思いつきを断ち切るように
地下鉄は勢いよくホームに入ってきた
真っ暗闇の中
人生を乗せて走る鉄の箱
走る
走る
刃の上


自由詩 刃の上 Copyright 大覚アキラ 2005-02-16 22:22:19
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