森の恋人
レタス
深い森にわけい入って
静かに 静かに 息を吸ってみた
甘やかな熊笹の香りが
肌を包み
遠い記憶を呼び覚ます
ぼくは此処にいたんだ
ミズナラの巨木のきみが
ぼくを呼んだから
きみの傍にやって来た
かたわらの流れに
ヒメマスたちが
舞い踊り
祝福を待っていた
耳をそばだて
きみの年輪を聞いてみる
だが、きみは答えなどできないという
少しだけ寂しいけれど
それは仕方のないことだ
冬が来る前に
きみに逢ってみたかった
きみの樹肌に耳をあて
愛していると
囁いた
自由詩
森の恋人
Copyright
レタス
2015-10-17 21:52:24
縦