アダージョ
レタス


俺とお前は見えない糸で繋がっていたけれど
魂をみせあいながら
涙をおさえて
嘘の歌をうたった

勝利の先が見えない
歌を高らかに

深海に沈んだ涙をともに呑み
レクイエムをくちずさんだ

壮大な大和は
静かに
静かに
沈みゆく

囁き歌う
我らの歎きに呼応して
軋み
唸り

はかない夢はかき消えて
沈黙の船体は沈みゆく

血潮を弾き
暗い水底にすべてが
消える

静かな時間のなかで
あらゆる想いが
渦潮に巻き込まれて
眠りゆく

あまりにも静かな音の中に
鎮魂などという言葉では
片づけられない
命の叫びが反響する

白骨と化した若者が歌う
余韻のアダージョ

青い水底に流れる旋律







自由詩 アダージョ Copyright レタス 2015-10-11 23:32:53
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