秋の日に
藤原絵理子


茶色く疲れ果てた蔓の途中で 朝顔の紅は
夏の追憶の中に留まろうと もがいている
枯れ急ぐ葉に抗う 小さくなった花は
冷えた朝露に濡れて うなだれる


永遠への憧れは たそがれて切なく
胸の底に沈んで 上澄みはうす青い
高く遠くなった空は 広すぎて無関心に
風が立つ 枯葉を転がす 空蝉がしがみついたまま


陽の光は 力なく乾いて 
二度と戻らない季節を撫でる
輪廻は求心力を拒んで 螺旋を描き始めた


白っぽく干上がった ヒガンバナが
芽を出すこともない実をつけて 揺れている
朝露はとうに消えてなくなった 昼下がり


自由詩 秋の日に Copyright 藤原絵理子 2015-10-10 22:41:31
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