マラソンランナー
レタス
霧の彼方に映る影
父母の面影が遠くなる
夭折した妹と弟の面影が遠くなる
そこに近づけるのは何時のことだろう
やがては逢えると信じている
輪廻の果てに
きっと逢えるだろう
そうした日々は暗く
冷たい波が押し寄せていた
哀しみというよりは
凍えていた
あのカーヴを越えたなら
世界は変わると思っていた
でもそれは叶わなかった
当たり前のことだったけれど
それは叶わなかった
命の森はとても深くて
ぼくは磁石を失いそうになる
生きてゆくためには
手のひらに磁石を握り締めなければならない
日々の境界線を越えるために
ぼくはマラソンを続けている
時々胸が張り裂けそうになるけれど
それは仕方がない
空がみていてくれるから
あの日からぼくは逃げるように
今日も走っている