マラソンランナー
レタス


霧の彼方に映る影
父母の面影が遠くなる
夭折した妹と弟の面影が遠くなる
そこに近づけるのは何時のことだろう
やがては逢えると信じている
輪廻の果てに
きっと逢えるだろう

そうした日々は暗く
冷たい波が押し寄せていた
哀しみというよりは
凍えていた

あのカーヴを越えたなら
世界は変わると思っていた
でもそれは叶わなかった
当たり前のことだったけれど
それは叶わなかった

命の森はとても深くて
ぼくは磁石を失いそうになる
生きてゆくためには
手のひらに磁石を握り締めなければならない

日々の境界線を越えるために
ぼくはマラソンを続けている
時々胸が張り裂けそうになるけれど
それは仕方がない
空がみていてくれるから

あの日からぼくは逃げるように
今日も走っている




自由詩 マラソンランナー Copyright レタス 2015-10-09 22:55:43
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