オールスルーザナイト
崎山郁


  久しぶりの日記

  書かなかった
  すごく楽しい日々だったんだけど
  指先からゆっくりと
  痺れていくような時間だった

  僕らは、
  と君が言う白熱球の下
  笑ってばかりいる私のお腹の上に
  腕を置いて
  目差しを向ける君は
  多分美しかったと思う

  なんてね、

  友たちが連日家に来ては
  去っていく
  私は殆ど毎晩お酒を飲んで
  すぐに酔っ払って
  しまう

  きっと寂しいのかな、
  薄い唇が
  長い間にゆっくりと
  すり切れていくように
  生きてきた

  

  背中の毛を剃ってもらった夜、
  彼が私の背にクリームを塗る手が
  すべすべしていた

  一緒に眠った女の子が胸を触ってきたり、
  飲んだ帰り、早朝に疎水まで歩いたこと、
  真っ黒のかたい髪を撫でたこと、
  すべてが喉を渇かしていく、
  と思う

  私たち、ステップを踏んで
  軽やかに踊っていようね

  ずっと




自由詩 オールスルーザナイト Copyright 崎山郁 2015-10-08 21:41:45
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