擬態の森
A道化





蛾か何かの最後尾が
視界の斜め上をかすめ逃げ去る場面、に似た
或いは、目尻の痒みにも似た
地下鉄の、蛍光灯の、黄緑色の、光芒の
消える寸前の瞬間と消えた直後の瞬間、との
交互のちらつきの
粗雑


その
下方にて
食虫花の喉のような
欠伸の、不揃いな陳列
枝の中盤にて誤って絡まった小動物、に似た
或いは、手にも似た
何かの沈殿物


その
上方にて
地下鉄の、蛍光灯の、黄緑色の、光芒の
粗雑


ジー、ジー、音を立てるその光芒と、或る爬虫類の尾を
混同し始める、それは、わたしが眠るということ、それは
被子植物に似てゆくということ、それが未遂に終わる終着駅に付着した
地下鉄の、蛍光灯の、黄緑色の、光芒の、粗雑の
ジー、ジー、ジー、にて
何かが、嗚呼、相変わらず何かがわたしである、ということの




2005.2.15.


自由詩 擬態の森 Copyright A道化 2005-02-15 10:20:08
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