ここにあるもの/ホープ
崎山郁

   
   辿り着いた地下鉄の出口で
   煙草に火を点けた
   ショートホープを吸い始めて
   どれくらい経つのだろうか
   以前はラッキーストライクだった

   それから10分くらいの距離を
   家まで歩く 
   私は生きているのだな、
   と思う

   昨日
   いつもの友人と久しぶりに
   近所のモスに行った
   隣に来た女の人が
   きれいだった
   こうやって二人で
   アイスティー飲んだり
   笑い合ったすることも
   あと何年かしたら
   なくなるんだなって
   言ったら
   目の前の友人は
   だってそんなもんでしょ
   そう答えた
   
   永遠の関係

   って結婚か血でしょ、

   なんて切ないよね
   だから
   私たち姉妹だったらよかったのにね
   そう思うだけ
   言わないよ

   家に帰って 
   寝る
   仕事して
   たまには友達にあって
   飲んだり
   騒いだり
   するだけ
   生きていくって
   こんなこと?
   ささやかなものだね
   
   結婚したらまた違うんだろうか

   煙草に火を点ける

   私たち
   優しい言葉を交わして
   手を繋いで眠ろうね

   駅から10分
   そんなこと考えて



自由詩 ここにあるもの/ホープ Copyright 崎山郁 2015-09-25 21:19:02
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