秋に思う
葉leaf




秋は漂うもの
木陰の道を蛇行し地の上を這いときには上空を舞う
風とは全く無関係に辺り一面を漂っていて
思いがけない屈折や飛躍をする
動物や植物や人間に時折吸い込まれては
全く無関係なところから再び出てくる
秋は無色で夥しく漂っている

秋は事物の覆い隠されていた深淵が見えてくる季節
見えてくるというよりは聞こえてくる季節
深淵には廃墟があって
滅びていくエネルギーで事物を推進している
あるいは深淵には無のエネルギーが渦巻いていて
全てが停止したときに初めて聞こえてくる音楽に満ちている

秋が疲労している
同時に秋は疲労を癒そうとしている
疲労は際限なく、癒しも際限なく
降り注ぐ秋の光のように
疲労と癒しは決して噛みあわず
当てはまらないものばかりが秋には溢れかえる
それでも秋は疲労にうまくあてはまる


自由詩 秋に思う Copyright 葉leaf 2015-09-17 05:30:24
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