あなたの詩にはセンスがない。
左屋百色

夕陽が
巨大な刃物に見えると
あなたは言う
浴衣の袖に
夏の終わりをぶら下げて
つま先で感じる
感じているらしい
闇とか、それ、本当か。

八月の深い所で
あなたが書いた詩は
センスのない刃物だった
夕陽に反射して
そこらじゅう光輝いていたけれど
あなたの詩が
輝いたわけではない
勘違いして
つま先で蹴り捨てる
蹴り捨てたらしい
石とか、それ、比喩か。

とても大切なことだから2回書きます

あなたの詩にはセンスがない。
あなたの詩にはセンスがない。

比喩の雨など降らないのに
ほとんどない技術の傘を広げ
ユーモアの風に吹き飛ばされ
まるでセンスのないあなたが
今日も詩を書いている
夜の海を泳ぐ
さかなみたいな詩を書いている
そう、
あなたはまるで
削られた山のよう
急斜面に造られた墓地のよう
つま先が濡れている
あなたの
その思わせぶりに青いつま先が濡れている
そう、
あなたはまるで
まだ詩を書いていない詩人のよう
九月に咲くムクゲのよう

詩はセンスで書くものではないと
センスのないあなたは言うだろう
夜空の下で
私に言うだろう
(あなたにもセンスはありません
と言うのだろう

あなたから
詩だけを切り取れば
見えてくる景色
はじめて夕陽に反射する
ムクゲに詩を感じる
今日も揺れながら
しぼんでゆく
夜空の下で
説明できない距離を歩き
技術の石につまづくならば
その石で
距離をはかればいい



自由詩 あなたの詩にはセンスがない。 Copyright 左屋百色 2015-09-16 13:13:36
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