鉄の必然
たけし

銅線で
脳神経を
キリキリと
縛り上げていく
のは快感だろうから
この夏の夜に画策する

までもなく
渦巻くハンマー音の波
ラバー壁に弾き返され
夜半過ぎに獰猛な咆哮
で復讐を開始するのだ

解っているって
部屋の隅に蹲る白い君
とっくに死んでしまい
いよいよ広がっていく
暗黒の穴はあたし
埋めようがないのよ
いい加減引き受けなさいな
あなたの人生はもう
この穴を塞いで塞いで
誤魔化すことではなく
一緒に入っていくこと
そのための猶予期間だったと
気付いたでしょうに

さあ
身を委ね捧げなさい
世界は
眼が眩むほど美しく
なのに
あなたはその自愛故に
安寧平穏な醜悪を
貪っていただけ

この穴を閉じれるのは
あなただけなのよ


そう
光は贖ってこそ 射す


自由詩 鉄の必然 Copyright たけし 2015-08-22 20:29:49
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