いつか、忘れるという日のことを
霜天

空を

どこまでも飛んでみるということを
振り返った視線の、端のほうの夢の中
ほんの少しの香りで、漂っている

今、この辺りで



いつのまにか、梯子がなくなっている
あの木の上の、秘密の場所までの
残されたのは
忘れるということ
この場所に荷物を沈めて
腰をおろす
いつか、という日のことを考えてみる


雑音が聞こえる
僕と、
空と地面の隙間に混ざりこんで
もがく手を
ばたつかせる水の中
少しも進まないうちに
溶けるように
紛れていく
今、この辺りで
足跡を掘り返してみても
ぼろぼろの地図ばかり

繋ぎ合わせると
誰かの顔みたいな
そんなものになった



想像
ここにはそればかりで
確かなもののように信じ込まされて
昨日の月のかたちを忘れかけている

今日、月の近づく頃
目を閉じて、その裏側で
手製の地図の上、指をはじく
夢とか恋とか遠いことを
忘れるという日のことを考えてみる


自由詩 いつか、忘れるという日のことを Copyright 霜天 2005-02-13 17:20:13
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