凍える真夏
たけし

真夏は
巨大な安穏スクリーン
透明な被膜の内側を
ふわふわ微睡む
人、森、猫

唐突
道路に
空いた穴
その深淵は
弾け飛んだ信頼の重み

傾く生を朦朧と
夏の熱気に曝け出し
実感なく歩を進める
虚脱した骨組みに肉を
纏わせ己、また今日も

くるくるまわる大輪車
風もないのに森は揺れ
ブレル手元と震える脚
繋ぐ他者は何処行った

透明な被膜を突き破り
イノチの狂乱、蝉時雨
いよいよ方位掻き乱し
無常この世の足場裂く

渇、活、喝!
肝据えろ
世界は
巨大な原色スクリーン

生かされて生き、
時が来れば
死なされて死ぬのみ。


自由詩 凍える真夏 Copyright たけし 2015-08-14 19:12:30
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