狐の三歩
あおば

         150812

残りの足は
宙で停止したまま

顔が引き攣っているのか
それとも誰かを威嚇するのか
正面に回りこむ余裕が無い
スマフォを持たない貧乏狐め
腹立たしいから、まわし蹴り
狐の耳元かすめ空を切るから
一本足の俺の顔は醜く歪んでいる
威嚇する間もなく襲撃した者への報復は
4本の足を地に着けたまま振り返った笑い顔
古い諺を忘れた報いだとばかりに物も言わずに
耳まで裂けるかと思うばかりに口を開き
悠然と一蹴り、視界から消えた
残像の中にも消えないで狐の笑顔の威嚇
父が
岩山登と名づけられたゆえんを祖父に聞いた


自由詩 狐の三歩 Copyright あおば 2015-08-12 20:03:22
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