じりひん
もり

財布のハラが
なったのである。
蝉の合唱部がちょうど
ステージをおりたころに
おれも、わかってはいた
わかってはいたけど
神社で見つけた蛇の抜け殻を
信じるには もう
足の裏が白すぎた。
列に並んでもみたが
冷蔵庫の中は変わらず。がらんどう
手前のご婦人が たんまり取り出した
極彩色の
夏野菜、
豚肉、
カレー粉 。

万馬券で ドル箱で 低金利で
知ってしまった蜜の味
広がっちまった胃袋に
さびしい音がこだまする
減量中のボクサーだ!

でも目は死んでない。まだまだ

この闘いが終わったら
チャンピオンになろうが
灰になろうが
ビフテキ、たらふく食べような。

鍬を振り下ろし
たまの汗を拭って
入道雲が うまそうで
おれのハラも
なったので。










自由詩 じりひん Copyright もり 2015-08-07 18:21:31
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