さよならビビッド
瑞海


つめをきった
爪を切ったの
もうあの人のために
オシャレなんかしないように

そもそも塗るのがうまくいかないと
イヤなタイプだからさ、わたし
塗ったり落としたり
面倒くさかったんだよね、ほんとは
ほら、パパも
除光液の匂いに
眉間に皺を寄せてたじゃない?

それにほら
引っ掻いちゃうし
引っかかっちゃうから
不便なんだよね

だから
わたしのこの決断で
あの人以外は
万々歳な訳よ

あんな愛想ないこと言われたらさ
今まで浮かれてた自分が
バカみたいになってきて
悲しくなっちゃった
でもあの人の最寄駅は
ここから東に13駅も離れているから
もう会うこともないね、絶対!

ああ、でも
もうあんまり使うことのない
このマニキュアの残骸を
あの人に全部
ぶっかけてやりたいな
落とすの大変だ
ふふふ


ソファに座ってアイス食べながら
大きな声で喋る
悲しみの裏返し

こんなにも女の子になった妹に
お姉ちゃんはついていけません

でも私は
ビビッドのネイル好きだったよ
あなたらしくて

まあ私は絶対しないけど


自由詩 さよならビビッド Copyright 瑞海 2015-08-03 20:21:42
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