ヴァンパネラの夜
Lucy

ドアの向こうで息を殺して
貴方が眠るのを待っている
洋服ダンスに潜む
黒いマントの貴公子

蒼い月の光に
薄目を開けて
耳を欹て寝息を偽装し
貴方は待つ
 
さあ飲みに来て
この白い頸筋に
鋭い牙を突き立てて

ヴァンパネラ
この復讐のために
たっぷりと濁らせておいた血を
好きなだけあげる

おまえの野望も
企みも
その驕りのために
潰え去る

貴方は無垢で柔順な
生贄の子羊
それは完璧なカモフラージュ
積年の憎しみを
今光の刃に昇華させ
銀の十字架に代えて
油断しきった眉間めがけて
振り下ろす

言葉を弄する者よ
去れ
おまえの正体を知った以上
この先何を信じろと言うのか




自由詩 ヴァンパネラの夜 Copyright Lucy 2015-07-18 21:18:36
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