温泉
葉leaf



服から体を脱いで
くるくる丸めて
ひょいとお湯の中へ収める
お湯は贅肉と置き換わり
いつまでも響いている
火に爆ぜる木の枝のように
鳴り始めた雷のように
響きが流れ落ちて浴槽にはまり込み
温泉はできあがって
際限のない食欲に湯気を立てている
体から正義を脱いで
正義から棘を抜いて
もう世界に義務はなく
世界に暴力はない
あるとしたら贅肉だけ
お湯の上を転がり続ける
爆笑する贅肉だけが
あらゆる法則を統べている


自由詩 温泉 Copyright 葉leaf 2015-07-08 12:07:15
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