真っ黒
アンテ


好きだったことが
壊れていくのは
かなしい
かなしい
その気持ちは
なにから生まれて
どこへ行ってしまうのだろう

なにかを好きでいることで
成立しているように
みえる世界は
でも
全然べつのなにかの都合で
変わったり壊れてしまったり
一方的で
ぼくたちは散らばった欠片を
大切に拾い集めて
後生大事にするしかないんだ
そしてそれは
好きだったことの
なんの役にもたっていなくて
別のなにかになって
それはやっぱり
同じように壊れてしまって
同じ気持ち
がくり返されて

ぐるぐるぐる

イヤな気持ちでいっぱいで
もうよそうって
想いだけが堆積して

色が混ざると
どうして違う色になるのかな
リンゴとみかんを籠に入れるみたいに
だれかの都合
だれかの気持ちは
別々のままでいられないのかな
もう
真っ黒で
もとがなんだったのか
思い出せなくなって
だから
壊すしかないのかな

次なにしよう
笑っている
まあやれるだけやったんだし
笑っている
ありがとありがと
でお別れ
キラキラ散らばった欠片
を踏みしめて

また次のなにかへ
また別の世界へ

行ってしまって
もう思い出すこともないのだろう



「Poison」 #12
inspired by ぽわん 「さよならアイドル」


自由詩 真っ黒 Copyright アンテ 2015-07-05 10:56:05
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Poison