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竹森

映画の隠し撮り

彼は
自分の仕事が嫌いだった

     +

ある日
上映の最中
突然警告音が鳴り
画面が真っ白になった
彼と数人の観客は立ち上がり
じき座り直した
それも映画の演出の一つだった

     +

ある日 彼は
退職届と引き換えに
綺麗な花を一輪
散らかった部屋に持ち込んだ
それを卓上に置けば
ようやく掃除をする気になるだろうという
安易な考えで

     +

彼女は
可愛らしい服装が似合う
可愛らしい女の子だった
初めは
どこにでもいる女の子だと
思っていた

     +

美しいものに相応しくあろうとする姿勢が
美しさの形の一つであるならば
人が美しくある為には
綺麗な花が一輪あるだけでいい

彼女はあるマンションの最上階に住んでいて
その部屋の窓にはカーテンが掛かっていなかった
代わりに洗濯物が青空の視線を遮っていた
洗濯するモチベーションになるでしょうと
呆れる彼に彼女は笑った

     +

それから 手の甲と手の平
握り合うではなく
重ね合わせることから始まった二人は
たとえば
一匹の柴犬を飼えば
ポチという名前をつけて
たとえば
一匹の黒猫を飼えば
クロという名前をつけて

     +

ちゃんとしたスーツ
ちゃんとした企業
寒くなる前に
きっと二人は
間に合っていた


自由詩 Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re: Copyright 竹森 2015-07-03 00:09:31
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