ロマンチックは
たったひとりの食事のようで
たったひとりのセックスみたいだ
ロマンチックは体では作ることができない
言葉
はロマンチックを形作る
ロマンチックはカタカナなので
哀愁としてもいい
誰もが自分を彩る
言葉の輪郭は曖昧で
たぶん、過去と言葉でしか
ロマンチックは作られていない
夢、思うように行かない
自分は世界に溶け出していて
ロマンチック
と自分は仲良くなれない
彩りだ
東京の街みたいに
どこも明るいのでどこも明るくない
濃淡も闇も光もない
空
太陽が
自分が
溶け出した言葉から
くもの糸を手繰るように
迷子になる
体を探す言葉
私たちは目を閉じていて真っ暗なのに
言葉は不用意に光るので東京みたいだ
私たちは東京ではない
私たちはロマンチックではない
ロマンチックは東京だ