それはつまり「彼らの記す湖の跡地を知らないが、
彼らの知らない水たまりの跡地を知っている」ということ。
僕にとって君はなんだったのかと考えるよりも、
君にとって僕以外はなんだったのかと考えることで慰めを得ていた。
はじめからどこか、おかしいとは思っていた。


あの頃をあの頃と呼べるようになった、
あんなにも無邪気だった僕と君へ。
あんなにも異性の全てを欲しがっていたのだから、
僕の指にはペニスのにおいが、君の指にはヴァギナのにおいが、
どんな同性愛者よりも染みついていたんだね。


（はじめて女の子を「可愛い」と感じたのはいつ？）


（はじめて男の子を「格好いい」と感じたのはいつ？）