時計
葉leaf




時計の針が壊れた残骸のある
人気のない広場で口笛を吹いている
早朝の光に満ちているが
もはや早朝といった時間を超えている
みな、何かを確かめようと躍起になっている
私は既に確かめた
新しい時計の針の材質を

こんな世界の根源に
一本の淋しい線路が引いてある
間もなく音もなく電車はやって来て
私は長方形が集まったシンプルな電車に乗った
世界の時間を動かしている時計は壊れたまま
もはや風景の移動を時計は制御できず
風景はランダムに切り替わる
私は座席に座っていたはずがいつの間にか立っている
時間の止まった線路の上で
狂った風を浴びている

ランダムに襲ってくる
建物、人間、植物、山林、機械
私にはその構造ばかりが明晰に見える
時間を超えて永続する構造の中枢を
私の脳はじかに視認し分析する
時間が壊れたこの場所で
運動が狂ってしまったこの場所で
ただ構造ばかりがにぎやかに栄え続けるのだ


自由詩 時計 Copyright 葉leaf 2015-06-27 07:25:44
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