結末泥棒
桜 葉一

全国の書店の全書籍から
結末だけが盗まれた

物語が佳境を迎える直前
そこから最後までの頁がすべて盗まれていた

ある物語は、主人公の恋が結末を迎える手前で
ある物語は、少年少女の夢が叶うか叶わないかの瀬戸際で

その犯行の手口は
数か月経っても解明されることなく
事件は迷宮入りを迎えようとしていた

そんな折
犯人が自首してきた
取り調べの際
犯行の手口を聞かれた犯人は
薄笑いを浮かべながら言った

「そんなの簡単ですよ。




















自由詩 結末泥棒 Copyright 桜 葉一 2015-06-20 21:53:58
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