記憶の底
レタス


クスノキの枝に吊るされたブランコから
洋紅色の貨物船が大きく小さく見えていた
船の食堂ではカレーライスかステーキを想像した
船員というのは美味しい物を食べると思っていた

あの日の昼はホワイトシチュウで
ちょっと残念
だけどパリパリのバタールが口と鼻をくすぐっていた

言葉の通じないブロンドの少女とぼくは
訳の分からない会話の連発で
水とボールで遊んで笑った

父と少女の母親の会話はいまだに不明

あのクスノキのブランコは夢だったのだろうか

確かなのは中華街で買った焼売とアヒルの缶詰と腸詰だった




自由詩 記憶の底 Copyright レタス 2015-06-12 21:49:55
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