限られた時間(とき)の中で
Honesty

昨年の夏
砂で造ったぼくの城
いつの間にか波に襲われ
音を立てる間もなく崩れ去った

秋になって
城跡が気になり浜辺に行くと
そこにはBBQの炭と花火の抜け殻が転がってただけ

冬の海は
暗くて冷たくて寂しいから
いっそのこと雪で城を造ろう

そして春が来て
雪の城はいつの間にか音もなく崩れ去り
そこには城に立てた旗と飲みかけのペットボトルが転がってただけ


今年の夏は
波に襲われないように城壁を造ろうか
BBQや花火に踏み込まれないようにお堀も造ろうか

もうちょっとで夏だから
だから…
もうちょっと頑張って
ぼくの命


自由詩 限られた時間(とき)の中で Copyright Honesty 2015-06-06 00:11:17
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