海と空
アンテ


しょうがなく付き合うフリ
したけれど
ホントは
誘ってもらってうれしかった

窓を開けると
思いのほか
風が強くて
帽子が飛んで行ってしまいそうだ
海と空が
あんなに近い

一度も行ったことないなんて
言えなくて
江ノ電に乗って
前の日に独りで出かけて
他の人とおなじ駅で降りて
海を遠目に眺めるだけで帰ってきた
車だったから
全然役に立たなくて
でも
電車の方がホントは好きだったこと
話せずじまいのまま
別れてしまって
あれから一年
だれとも来る機会がなかった

あの角で曲がれば近道
あのお店で
かき氷食べないのね
この曲だれのだろう
アルファベットの読み方が
わからない
窓のむこうに見える海や空は
同じだろうか
思い出せない

うなずいてばかりが
イヤなら
そう教えてほしかった
そんな会話が最後だったなんて
かなしいのかな
窓の外ばかり見ていると
また嫌われるかな
でも
海と空がくっついてしまいそうで
とてもきれいだ

そうだねって
うなずくのはむずかしい
簡単だから
むずかしい

かき氷
食べたいな
素直に言えるかな

次は電車で来たいな



「Poison」 #5
inspired by ぽわん 「しょおなんのかぜ」



自由詩 海と空 Copyright アンテ 2015-06-02 00:53:15
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Poison