海へ
藤原絵理子


半袖に変わった セーラー服の白がまぶしい
目を細めて見上げた空に 風は雲を巻いて
かすかな潮の香りが 広がる記憶に
連れていく 銀色の波が光る場所へ


裸足になって 寄せる波から逃げた
砂に埋もれた 流木の影は長く
とりとめのないおしゃべりに 笑っていた
きみが集めてくれた桜貝が 壊れやすくて


灯台の光の向こうには
何も見えない 暗い海だけが
そんなことを 気にもかけないで


やわらかい心の奥を 見つめ合っていた
きみといた夏は 鮮やかに色褪せて
あたしは まだ その幻を追いかけている


自由詩 海へ Copyright 藤原絵理子 2015-05-26 20:54:49
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