飛ばされた蚊
日々野いずる

もはや地上は眼下に小さく
自分の力じゃ降りれません

下降風を探すのですが
蓄えた血も尽きてきて
もう残りわずかと知ってます

高く飛べる鳥を羨ましく思ってはいたのですが
高く高く鳥を通り越して高く
太陽に近くなってしまった

風がいたずらで私を舞い遊んで
軽い存在の私は
あっ、と思う間もなく
雲に近くなってしまった

私は飢えて死ぬのでしょう

そうして羽ばたきが止まったら
だんだんと下に落ちていき
やっと家に帰れるのでしょう


自由詩 飛ばされた蚊 Copyright 日々野いずる 2015-05-19 19:17:16
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