筑波歌垣
……とある蛙

下総台地の片隅で
遠く筑波の山なみを窺う
古来東国の歌垣は
いま離陸する輸送機の
後方彼方に鎮座する山
男体山に女体山
周辺に遮る山もなく
関東平野の中央に
香取の海を睥睨して
ほんの少し盛り上がり
男女の契るきっかけの
古代の出会い集団見合い

一人ぽつんと桜並木
葉桜の下の侘しさと
妻恋しさの絶望に
還暦の男が涙する。


自由詩 筑波歌垣 Copyright ……とある蛙 2015-04-27 14:39:53
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