恋文
竹森

どんな女の子にも
あなたに似ている部分のひとつやふたつ
探そうと思えばいくらでも探し出せる

ローソンで目が合った
母親に連れられた中学生
あなたにそっくりだったよ
初めて出会ったとき
僕らは高校生だったね

どんな女の子にも
あなたに似ている部分のひとつやふたつ
あるのだろうけど
ローソンで目が合った
母親に連れられたあの子は
あなたに似ているというより
あなたに似ていくという印象で
まるで中学生のときのあなたが
映ったビデオを観せられているようで
あなたについて僕がまだ知らなかった事を
あの中学生は教えてくれたような気がしたよ

何故だかお互い気になるようで
しばしのあいだ我を忘れて見つめ合ったあと
気まずくなって目を逸らしたけど
それからもチラチラと視線を送りあって
ローソンを出てからも
振り向き合ったりしていた

あなたは大学生である今の僕を知らないけれど
僕があの子を通して中学生のときのあなたを初めて知ったように
あなたも誰かを通して大学生になった僕をどこかで知っているのかな
もう少しで声を掛けそうになってしまって
結局かけなかったのは
あの頃の二人の関係を再現しているようだったよ

同い年のあなたを愛しているけれど
年下のあなたも悪くない
もちろん年上のあなたも悪くない
直交座標の縦軸
それを僕の時間軸とするなら
横軸はあなたの時間軸
あなたは僕にとって失われてしまったのではなく
散らばってしまったのだった

遠く
遠く
広がっていく
僕の世界
あなたの世界
中学生のとき
きっとあなたは処女だったね
今もそうだったら嬉しいな
どうして今まで
探そうと思えばなんとか探し出せる
あなたに似ている部分のひとつやふたつを
わざわざ探し出してまでして
あなた以外の女の子の価値を
認めてあげようとしていたのだろう

僕はあなたを愛していて
あなたも僕を愛している

愛している


自由詩 恋文 Copyright 竹森 2015-04-27 01:10:09
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