卒業写真
藤原絵理子


時が経っても たぶんきみはきみのままで
あたしは ラッシュの人波に流されて溺れて
年老いた患者の愚痴を聞きながら
磨り減って 川下の石みたいに 丸くなる


そうして彩色されていく
透明なこころは 泉の奥深くへ沈み
本当のあたしは 言葉を飲み込んだまま
話す時の口調が 変わっていく 冷静を装って


告知は 死刑宣告に等しく 
そんなことにも 染まって 当たり前になって
取るに足らない日常に 埋もれていく


校庭がうす紅に染まる さよならの季節
今ごろどうしてるかな なんて月並みに
きみの髪に舞い降りた 花びらを思い出している


自由詩 卒業写真 Copyright 藤原絵理子 2015-04-26 22:01:32
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