カンパネッラ
亜樹

 カンパネッラ、君は今頃、
 あの青白く光る星の裏側を、
 旅している頃でしょうか
 
 そこから見ればこの星で、
 炭酸ガスの割合や、窒素や燐の配合や
 地割れや雪崩や日照りに寒さ、おおよそ自分の身に余る
 その他、諸々な事象や現象に
 頭を悩ます私などは
 さぞかし小さく
 見えるで
 しょう

 ブラウン管の向こうに見えた、
 画質の悪い現実は
 今となっては可愛いもので、
 量販店にずらりと並ぶ
 薄っぺらな液晶の、
 その向こう

 現実よりもなお明るい、
 色、いろ、イロ。


(六等星はもう僕らを見捨てました)


 カンパネッラ、
 君はまだ、そこにいますか? 
 そこにいて、くれていますか?
 今はもう光だけを残す、
 オリオン、
 ベテルギウス、
 
 僕の、友達。
 


自由詩 カンパネッラ Copyright 亜樹 2015-04-26 20:58:45
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