ガガーリン
ただのみきや

右の頬が激しく打たれた
しかし左の頬は無事だった

額がスズメバチに刺された
でも後頭部は無傷のまま

左目に火の矢が突き刺さると
右目はとっさに視線を逸らす

耳は恐々 欹てるだけ
オレタチ出来ルコト無イシ……

空爆で鼻が吹き飛ばされた頃
ぴかぴかの赤い唇が無邪気にとんがり
ワタシ平和! ゼッタイニ平和! 

すると使い古しの白マスクが覆い
かわりに拡声器が喚きだした

――きょうも
     地球の顏は青かった――



             《ガガーリン:2015年4月20日》






自由詩 ガガーリン Copyright ただのみきや 2015-04-25 06:17:52
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