流線型の悲しみに
ベンジャミン

開放されない夜

こんなにも悲しみは
不快な落下を求めて
その瞬間を嘆くことさえ許さない

形を維持できない感情は
なめらかに体をすり抜ける

闇を潜めて光彩に垂れた

透明は純粋なふりをして
どの顔も同じに映す

端にあるほど歪んだ像を舐めると
唇は縫われたように押し黙る
循環は繰り返しではなく
少しの変化を押し流して無にする
虚しさ

せめて生まれ変われよと
手を広げた鉢植えに自分を与える

弧を描きながら走り
その先端から身を乗り出した
悲しみは
きれいな流線型を重力にゆだねている

そして

泣き声もあげずに落ちてゆく
その様を見下ろすとき
安堵のため息さえ儚く吸い込まれてゆくのを

やはり救うことができない
指先も

流線型の
頼りなさ






自由詩 流線型の悲しみに Copyright ベンジャミン 2005-02-08 19:24:11
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