幻滅
やまうちあつし

最後の列車が出て行くと
ホームの照明は全て落ちる
やがて通りの建造物は
砂のように崩れ落ち
後には
魚の骨が突き立っている
古びた予言で言われたとおり
忘れ去られる花言葉
無表情な三日月と
cook-a-doodle-doo
旅人が訪れたとしても
一体何処だかわかるまい
音のないこの街で
私は青銅製の現実主義者だ
生き延びることを目的に
不器用に泳いで渡る
平熱の真昼
間もなく辺りには
異教徒ばかりが住み着いて
魚の姿が思い出せない
猫がふたたび
しっとりと光るまで
水晶は眠っている


自由詩 幻滅 Copyright やまうちあつし 2015-04-24 15:03:04
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